『やられたらやり返す。倍返しだ!』
東京オリンピック招致での「滝クリ」さんのスピーチでブレイクした『お・も・て・な・し』と並んで、下半期のお茶の間を席巻したドラマ『半沢直樹』の主人公の「胆(キモ)」とも言えるセリフです。昨今、子ども~大人まで日常生活の中のあらゆるシーンで、使われているようですが、どうも違和感を覚えずにはおれません。『たかがドラマだろ。いるんだよな、「子どもに悪影響を及ぼす」とか言う奴が…』という声も聞こえてきそうですが、一言、僧侶のはしくれとして言わせて下さい。
『法句経(ほっくきょう、ダンマパタ)』という原始仏(教)典のなかに「この世の怨みは怨みをもって 静まることはありえない 怨みは捨ててこそ静まる これは永遠の法である」(※片山一良『ダンマパタをよむ』より)と説かれています。
この釈尊のお言葉を、第二次大戦後のサンフランシスコ講和会議において、戦勝各国が競って敗戦国・日本に対しての補償請求を行う中で、セイロン(現在のスリランカ)の外相ジャヤワルダナ氏(後にスリランカの大統領となります)が演説のさなか引用し、日本への賠償権を放棄したそうです。
ここ数年来、中国・韓国との間で領海や過去の歴史認識等をめぐって険悪なムードが続いています。それに対して、ラディカルな団体や思想家、政治家等がヘイトスピーチ等で応酬し、首脳会談の目処すら立っていません。
そんな時いつも思うのは、過去の痛ましい戦争で亡くなった日本を含めた多くの国の方々のことです。日本ではすぐに靖国問題にリンクしてくるかもしれませんが、亡くなられた方が英霊であろうと、仏(ぶつ)であろうと、今彼らが、本当に望んでいることは何でしょうか?「私たちの仇を取って下さい。怨みを晴らして下さい。」でしょうか。否、「あなたたちを私たちが目の当たりにした悲劇に絶対に合わせたくない。」この一言に尽きるのではないでしょうか。そのためには、明るい未来を構築していくためには、「私が、私が…」の思いを少しセーブしては如何でしょうか。
2500年の時を超えて、尚語り継がれる釈尊のお説法。唯々この宝物を、人種や国境を超えてバトンタッチしていかねばならない、それが私たちの使命であると、切に思うばかりであります。
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